HACCP関連情報

HACCPシステムの威力と実際

HACCPに関する10の誤解

1.対応施設設備に変えなければならない、古い工場だからできない、という誤解
HACCPは安全にするためのシステム、方法なので、基本的に施設設備は現状のままで構いません。
例えば、ゾーニングや動線を直すには、隔壁を必ずつくる必要はなく、パーティションで区切ったり、ラインを引くといった「方法」でもできます。
2.「取得」しなければHACCP実施を広報できない、という誤解
自主的に行っていれば、承認や認証がなくても「うちの工場ではHACCPを実施している」とアピールできます。
3.膨大な資料を作られければならない、大工場でなければできない、という誤解
自社の製品の安全性を高め、品質も良くして、商品力を高めるために、自主的にHACCPを行うのならば、わざわざ膨大な資料を作る必要はありません。
むしろ重要なところに絞り込んで行うほうが運営に集中できるので効果が上がります。
4.製造効率が悪くなる=コストアップ、という誤解
動線とゾーニングを検討する場合、動線は一方方向に製造が進み、交差したり戻らないようにして、ゾーニングは衛生レベルの違いで分けます。
そうすると、実は製造工程で物があちこちに無駄に動かないようにすることにつながります。
こうした措置を綿密に行うと、同じ人員、同じ設備機器で生産効率が上がり、コストダウンになります。
5.専門家か資格者がいなければできない、という誤解
日本ではほとんどの企業は基礎勉強から始めています。
「スタッフがいない」「専門家を雇えない」と悩む必要はありません。
6.加熱工程がないからできない、という誤解
危害を食い止めるためのポイントとなるCCPの代表的なものは加熱殺菌ですが、加熱殺菌工程がない製品で、金属探知器も必要なければCCPがなくなってしまいます。
しかし、確実なCCPがなくてもHACCPはできます。
7.検査機器がないからできない、という誤解
HACCPは簡易検査だけでも十分に構築運営できます。簡易検査の検証のためには、専門機関や公的機関に検査を依頼すればよいでしょう。
8.監査体制構築が大変、という誤解
監査は、内部監査と外部監査の両方を行います。
工夫しだいで効率的、効果的に行うことができます。
9.すべてを構築しないと動かないのでは?という誤解
土台となる一般的衛生管理の構築から行っていくと、少しでも進めるごとに、クレームの減少などの結果として、効果がしっかりと現れてきます。
10.同じ製品を作る工場なら似たものになる、という誤解
HACCPは、工場ごとに工夫をして構築するものなので、全部異なります。

※加藤光夫氏著「実例満載! HACCP 現場アイデア55!」より